最近、特に強く思うことは、キャリアにおけるバックアッププランを持つことの必要性です。
もともと自分は色々な備えをしておくことに重きを置いています。それは臆病な性格であることが理由の一つなのですが、守りを固めているからこそ、安心して十分に攻めることができるという効果があると信じています。キャリアにおいても同じだと思います。バックアッププランがあり食いつなげる保証があるからこそ、本業で大勝負が出来るのではないかと思っています。
これまでの終身雇用を前提とした日本社会ではそんなことは気にしなくても良かったのかもしれません。しかしグローバル化や日本という国のマクロな状況変化など雇用を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そんな状況では終身雇用なんてもはや誰も信じてはいないでしょう。
日本のサラリーマンは、一年暮らしている程度の給与しかもらうことができないため、継続して働くことが必要です(海外の超エリートみたいに、1年働いたら10年食えるというような事はありません)。しかし終身雇用がなくなり、かつ雇用も流動化しない、日本という国の成長も見込めないとなれば、今の会社から給料が貰えなくなったときに、大きなピンチににさらされます。もしかすると、そのピンチの確率はそれほど高くはないのかもしれません。しかし一旦発生してしまうとそのインパクトが大きすぎるため、確率の低さを無視することは到底出来ません。
そんな中でサラリーマン研究者として、会社からの評価というモノサシの中だけで競争を続けてくことは大きなリスクだと思います。だからバックアッププランが必要です。企業研究者という一見するとローリス・クローリターンな状況で確実に生計は立てつつも、それが揺らいだ時に食いつないでいけるキャリアにおけるプランBを立てておかねばなりません。
それは決して、本業である創薬研究から逃げることを意味するのではありません。むしろ創薬研究における自身の価値を高めるような、自分の第二の専門性を作るような気持ちで何かに取り組めば良いのだと思っています。ここで中途半端な気持ちではだめでトコトン取り組める何かを見つけたいと思います。以前にも書いたのですが、一流となるには1万時間の投資が必要になるとのことです。物理的には無理なのかもしれませんが、それくらいの気持ちが必要です。
確かに、第一の柱である生化学ももっと高めていかないと世界では勝負出来ませんので、こっちを疎かにしてはいけません。ですが、第二の柱として本業から派生した何か、そして本業を助けるような何かを選択することで、より強い参入障壁を築くことが出来ると思っています。
ものすごい勢いで変化する社会の中で優位な位置にいるためには、立ち止まることなく常に変化し続けなければならないのしょう。自分は新しい何かに挑戦し身に付けることは好きですので、自分が変化していく様子を楽しみに、次の何かを見付けていきたと思っています。