研究にこそアートのセンスは必要

自分が携わる研究という仕事は科学的な仕事であり、科学を欠かすことは出来ません。しかしそれだけで十分かというと決してそんなことはなく、企業研究である以上はビジネスの観点も必要であり、また会社という組織で仕事をしていることかマネジメントも必要になります。

ということは分かっていて、その不出来に苦しんではいるのですが、最近、さらにアートのセンスも実は必要で、これが最も苦手で上手に出来ていなということに気付いてきました (汗)。

たとえば今、極秘のプロジェクトとして (笑)、新しい解析方法に取り組んでいるのですが、残念ながらあまり上手くいっていません。研究の科学面は上手く進んでいるのですが、ステークホルダーへの説明がうまく行かずにプロジェクトメンバーからの関与を上手く引き出せていないという問題を抱えています。

まぁ新しい研究なのである程度は仕方がないのですが、一方で別の研究の場合は全く問題なく上手くいきました。その違いを考えてみたり、インタビューしてみたのですが、今回の研究は前回の研究に比べて『ネーミングセンスが悪い!』というご意見をたくさんいただきました。

『はぁ???』というのが自分の正直な感想で、自分たちの仕事はサイエンスであり、モノを売るわけではないからネーミングは関係ないだろ、と思いはしました。しかしその後すぐに、自分たちはモノ以上に形の見えないアイデアをお客様に売っていることに気付きました。だから実はモノを売る以上にマーケティングやセールスが重要になってくるのではないかということです。しかも研究の場合、売っていくアイデアが非常に専門性の高いものになるため、その価値を専門分野の異なるステークホルダー(たとえば他部門のマネージャー)に正しく伝えるのは一苦労なのだと思います。

だからこそ、一言その研究のタイトルを聞くだけで研究内容が分かるようなネーミングセンスが必要で、さらに研究内容を簡潔に伝えるための伝え方が必要で、そのためにはビジュアルも駆使しながら必要十分な形で研究の価値を表現していくことが求められてくるのだと思います。

そうなると、自分は理系だからとか、アートのセンスがないから、とかは言ってられません。そう考えてみると、自分が尊敬する研究者であるアメリカの同僚は、『その研究について一言でいうとどうなる?』とか『これを絵や写真などのイメージで表すとしたらどんな感じで表す?』とか『これの研究を何かで例えるとしたらどう表現する?』などと自分に対しても言っていたのを思い出します。そして科学の研究者だからこそ、文化、歴史、風土、教養、etc. に対して、興味関心を持つべきだと言っていたのを思い出します。このような無用の用とも言うべきことに対してこそ、無駄だとは言わずに広く興味を持ってみたいと思います!


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