#273 組織的に情報発信をする価値!

ボクは民間の製薬企業に務めていますが、自分の会社は業界の中でも情報発信をしない会社だと思っています。

もちろん、製薬会社は知的財産で製品を保護しているわけですから、機密情報はしっかりと保持していなければなりません。特に研究開発型企業においては、研究内容の情報発信は、投資の結果である研究の成果を競争相手に教えることになります。ですので、そういったリスクや損などが考えられるにもかかわらず情報発信をしていくには、その価値を理解してもらうために、説明しなければなりません。

ボク個人は、「組織として過剰な情報の出し惜しみは、組織にとってマイナスになる」と考えていますが、その理由について書いてみたいと思います。

まず1つ目。
これまでに何度もこのブログで書いてきたことではあるのですが、情報発信することで、自分の組織にとって価値がある情報を効果的に収集することができるようになると考えます。

具体的には、自分たちの興味や関心を発信することで、その情報に価値があると判断する人、すなわち自分と興味が近い人・組織、を集めることができます。そのような人・組織に対し、継続的に価値のある情報を発信することができれば、その分野の key opinion leader (KOL) だと認識してもらえることが出来るかもしれません。

そうなったらシメたもんで、その分野の情報が自動的に入ってくるようになるはずです。というのは、誰でも KOL の話を聞きたいと思うでしょうし、その KOL が情報発信に前向きであれば、自然とヒトと情報は集まるようになってくるはずです。

そのようにして形成されたコミュニティの中で、参加者全員が情報の発信者と受信者になり、皆が win-win の関係でコミュニティ自体が発展していくようなことができればすごいと思います。(国内の同業他社さんももちろん競争相手ではあるのですが、本当の?敵は世界中にいっぱいいるわけですし、もっと言えば、本当に倒すべき敵は『病気』です。)

そのような人的なネットワークを構築することができれば、自分たちが興味のある情報を効果的に収集することが出来るようになると思っています。このようなネットワークを作ることは、まさにプラットフォームを構築することであり、お金では買えない貴重な価値を持つと考えることが出来ます。

そして2つ目。
情報発信をすることで、組織としてもフィードバックを受けることができる点もメリットです。組織であれ個人であれ、自らの取る戦略に対してあらゆる可能性を考え、多角的な視点から検証をしていきます。しかしながら、客観的に自らを見ているつもりでも、結局は主観が入ってしまい、自分達にとって都合のよい理論構築をしがちです。

情報発信とそのフィードバックは、そのようなミスに気付くことが出来ると思っています。組織内の限られた意見よりも、外にある無数の外部脳からのフィードバックを使っていくことにより、より価値の高い戦略などに改良していくことが出来ると思っています。

最初に書いた通り、何も機密や大切な情報を外にだせ、と言っているわけではありません。可能な範囲での情報を出し、そしてフィードバックを受け、さらに、同じような興味をもつヒトからの情報を受けることで、組織が進化していくスピードを大幅に加速していくことが出来るのではないか、と言っているだけです。

とはいえ、いろいろな歴史背景のある自分の組織が、自分の望むような姿になることは一朝一夕には難しそうです。ですが、自分個人がそのようなキーオピニンオンリーダーを目指していくことは今の瞬間から出来ることです。

しかし上記の発想の前提は、良いアイデアや高い専門性があってこそ。。。精進します、はい。


4件のコメント

  1. SECRET: 0
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    全く同感です。化学業界は特に”井の中の蛙”が多すぎます。だからこそ差別化のチャンスが大きい…と私なりには考えております。共に携えていきましょう!

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    >としくんさん
    コメントありがとうございます。はい、そう思います(笑)。差別化、いいですね!

  3. SECRET: 0
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    1つ目と2つ目の違いがよく分からなかったので、もうちょい具体的にしていただけると助かります。門外漢なもので。
    しかし、毎日毎日よく書きますね~。僕には無理でした。
    そういうスタイル、書いてる内容、こういう人だったんだ?ってちょっと新鮮です。

  4. SECRET: 0
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    >Last Samuraiさん
    コメントありがとうございます!いま読み返してみたら、ほとんど内容同じですね(笑)
    むしろ、言いたかったことは、組織として第三者の目線でフィードバックを受けることはほとんどないと思っています。その結果自分たちの論理で独自に進化や最適化を遂げてしまう危険性ってあるかな、と思っています。ガラパゴス。
    組織のディシジョンに対するフィードバックって、実はとても貴重かな、と。

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