これまで自分としては、問題解決の能力を高めようと努力しできました。その甲斐あってか、問題解決の能力はそこそこ上達し、会社でもその能力である程度食べていけるのではと思います。
しかしながら研究者としても会社員としても、これからの時代に必要となってくるのは問題解決の能力というより、問題発見、機会発見の能力だと思います。そして自分は、この問題発見や機会発見の能力が非常に低いと感じており、なんとかしたいと思っています。
問題解決の能力は、持続的なイノベーションにとって必要であり、安定した環境においては重宝する能力だと思います。しかしながら、この能力はその人独自の強みと言うようなものではなく、普遍化した能力ともとらえることができるかもしれません。というのは、多くの問題は既存のパラダイムを用いて解決可能なことが多く、必要なのは単なる問題解決への慣れだけという場合もあるでしょう。もちろん問題解決に上手い下手はあるでしょうが、その方法に絶対的なものではなく、むしろ複数の解がありどれを用いても解決できるような場合が多いです。
加えて、物事の価値基準さえ変化する不安定な時代においては、定義された問題そのものが価値を失う可能性があるため、たとえ解決したところでそもそも価値をうまない事さえありえるでしょう。むしろこのような時代においては、問題解決よりも機会発見に注力するべきなのでしょう。ドラッカー教授も『問題ではなく、機会に焦点を合わせることが必要である』と書かれています。
問題解決と比べてこの機会発見の能力には、非常に大きな個人の能力差があると思います。というのは機会発見の能力は、現実の世界をどのように捉えているかというパラダイムに依存しているからです。機会発見のためには自分がどのようなパラダイムで世界を見ているかを認識していなければなりませんが、それは当たり前の事に気付く必要があるという意味で困難なことだと思います。さらに機会に気付くためには、時にはパラダイムを新しくすることも必要でしょう。
変化の大きい不安定な時代だからこそ、既存の物事のやり方を大きく変えるようなパラダイムシフトを生み出すチャンスも、パラダイムシフトに気づくチャンスもあるのだと思います。今起きている変化の中に機会を発見できるよう、まずは自分がどのようなパラダイムで物事を捉えているかを認識することから始めたいと思います!