昨日の続きで学会に参加して思ったことです。参加した企業や団体の規模には差はあれど、参加している人の大半はその組織を代表するようなつもりで参加しているようでした。実際に組織のトップであるかどうかは別として、そのように非常に意識の高い方とディスカッション出来たことで、各社が共通してかかえる問題や危機意識を共有できました。
参加した学会の学問分野は今の創薬研究では必須のプロセスではあるものの、今後もそうあり続けるかは大いに疑問だと思います。技術の進歩でより良い方法論に置き換えられることは考えうることだと思います。そもそもこれから製薬業界そのものがこの先どうなるさえ分かったものではありません。
自分としては上記のように思っているのですが、その認識に関して少し差があったことは驚きでもありました。多くの方が『自分の学問分野・仕事は永続する』と考えられているようでした。その根拠に関してはあまりディスカッションできなかったのですが、根拠はなく盲目的・さらには願望として『自分の仕事は継続する』と信じたいようでした。
もちろん、自分としてもそう信じたいとは思っています。ただそう信じれる根拠はなく、自分の業界を取り巻く状況を客観的に見てみると、それを否定する事象はたくさんあります。学会でディスカッションしていただいた皆さんは今の分野でとても高い専門性をもっておられるからこそ、今の分野を出て勝負はしたくないという思いが少し感じられました。
では(他の人はどうか分かりませんが)自分が何故そう信じたいかというと、自分がこの業界以外で戦える自信がないからだと思っています。そう信じる他に打ち手がないので、盲目的に信じているということが本当のところなのではないでしょうか。
まだちゃんと読んでいませんが、リンダ・グラットン先生の『ワーク・シフト』の本の中でシリアルマスタリーという考えが出てきます。これは高い専門性を連続して持ち続けていくことで、変化し続ける環境の中でも存在感を出し続けることが出来るというものだったと思います。
今後も今の分野での高い専門性を追い続けることはもちろんなのですが、それは今後も業界で生き残っていくための必要条件に過ぎず、次の高い専門性を追い求めることが長く活躍し続けるるための追加の条件になってくると感じました。