一昨日から続けたシリーズも、今日で終わりです。
病気で苦しんでおられる患者さんとそのご家族を支援しておられる団体の方のお話を聞く機会がありました。
講演をしていただいた団体の活動のほとんどは善意のボランティアや寄付により成り立っているようです。
団体の活動は、「出来るときに、出来る人が、出来ることをする」、ことの積み重ねで成り立っているのだ、というメッセージを頂きました。
そのお話の中で印象的だったエピソードを一つ紹介させてください。
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20歳前後で突然、難治性の病気が発症してしまった青年が、その支援団体の支援を受けることになったそうです。ひょんなことから、その青年は治療を続けながら、この支援団体のボランティアとしても活動するようになりました。
彼はボランディアとして活動していく過程で、別の多くの患者さんと出会い、そして多くの事を学びました。そのうちに彼は、自分と同じ疾患を持つ人達がどのような治療をして、その病気がどのように進展していくか、を知ることになります。それは、かれの病気はほとんど助かる希望がない、という厳しい現実でした。
しかしながら、彼はその事実を知りながら、非常に苦しい治療や臨床試験に参加し続けました。「もう少し楽な治療を選んでもいいのではないか」、と周りのボランティアスタッフが彼を思いやるほど、辛いものでした。でも彼は続けました。
あるとき、スタッフの一人が彼に訪ねました、「(自分の病気のことはよく分かっているはずなのに)どうしてそんなにしてまで、辛い臨床試験に参加し続けるのか?」と。
「僕は僕に出来ることをする。僕に出来ることは、いま行われる臨床試験に参加して、データを蓄積してもらい、新薬の開発に役立ててもらいたい」
と、彼は、答えたそうです。
残念ながら、彼は30才になる前に亡くなられたそうです。
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「出来るときに、出来る人が、出来ることをする」。
自分に「出来ること」は、まだたくさんあるはずです。そして、製薬会社にいる「自分たち」にしかできない使命があります。そしてそれは、「出来るとき」にやらないといけません、それは今だと思います。
このボランティアの青年のエピソードにより、「新薬の創出を通じて患者さんとそのご家族の幸せに貢献したい」、という思いがより明確になったと思っています。ありがとうございました!