仕事で大きな事を為そうと思するならば、当たり前のことながら、それを実行するためのリソース(お金、ヒト、時間)を獲得することが必須です。そのためには、話し合い、情報発信、相手の利益を考え提示する、共感できる目標を示す、クリティカルパスやキーオピニオンリーダーを押さえる、などが実際のところ必要で、いきなり『手伝って下さい、お金を下さい』で『よっしゃ、分かった、OK!』となることは、ほぼあり得ません。
こういう事前準備をコミュニケーションと呼ぶこともあれば、『根回し』や『社内政治』と言うこともあるでしょう。ネマワシや社内政治などと呼んでしまうと、卑怯、汚い、など非常にブラックで良くないイメージがしてしまうかもしれません。
だけど事を為そうとするのであれば、『キレイ事』だけでは済まされないのが大人の世界なのだと思います。会社もそして社会そのものも、多様な考え方をもった多くの人が色々な思惑で集まる組織ですので、何もしないで合議制をとれば無難な結論になりがちですが、多くの場合それでは競争相手に勝てないと思います。
先日、ある方の進めで『13億分の一の男』という本を読みました。これは中国共産党の習近平書記長が、中国13億人のトップとして権力を掌握するまでの、中国共産党の権力闘争の歴史が書かれた本で、非常に興味深く読ませて頂きました。駆け引き、パワーバランス、利権や汚職、盗聴、冤罪などを含め、政治の裏舞台は決して『キレイ事』だけでは済まされず、やるかやられるかの世界であることを知り、大いに刺激を受けました。
当然のことながら、ビジネスの世界では賄賂とか盗聴など、法に触れるようなことや倫理的に問題のあることは絶対にやってはいけません(当たり前!)。ですが(政治の世界ほどではないまでも)ビジネスの世界でも『法や倫理に問題さえなければ』何でもありの世界であり、グローバル化に伴ってその傾向は益々強くなっているのだと思います。
夢や理想はもちろん大切です、そして性善説に立って仲間を信じることも大切です。だけど上述のとおり現実世界はそれだけではダメだということも分かっておかねばなりません。これは『自分が社内政治を仕掛ける』ということではもちろんありません。ただ自分の属する世界においては、自分の信じる事を実現しようとするならば、そういう世界観や認識を持っておくということが必要なのではないか、と感じています。自分はその点において、あまりにも無知すぎると思います。今後は社内政治で少なくとも損はする事が無いよう、その観点からも自分の行動を見直していきたいと思います。