『清掃のプロフェッショナル』からの学びと内省

普段はテレビを見ないのですが、帰国便の機内で『プロフェッショナル仕事の流儀』を見ることが出来ました。特集されていたのは、清掃のプロ、新津春子さんです。彼女が清掃する羽田空港は2年連続で世界で最も清潔な空港として表彰されているようです。

海外に行った直後だから余計にそう感じるのかもしれませんが、海外では一流と言われるホテルでさえ(見えにくいところは特に)汚れやホコリなんかが一杯あります。空港なんてとても汚なく、そもそも汚いことが前提になっているみたいで、利用者はみな平気でゴミをポイ捨てているように思います(自分も海外ではゴミを捨てることに対する罪悪感が小さくなっているように思います)。帰国してまず思ったのは日本の空港って本当に綺麗ですね、そこには新津さんのような清掃のプロの美意識があるからなのかもしれません。

80種類以上に及ぶ使う洗剤の選択から清掃用の器具の独自開発に至るまで、その専門性は凄いのですが、最も驚くのは『そこまでやるの??』というこだわりです。映像では全然汚れていないように見える場所にも小さな汚れやホコリを発見され綺麗にされたり、素人目には殆ど気にならないステンレス表面に付加した微かな水垢を『汚れ』と認識されていました。たしかに水垢は付いていますが、もしそれを汚れと認識しなければ汚ないとは思わない微かなものです。しかし清掃されたあと、ピカピカに輝くステンレスの表面はまるで新品のようで、この違いを見て初めて汚れていたのだということに気が付くくらいです。

新津さんが初めて就いた仕事が清掃だったということですが、清掃という『仕事の地位の低さ』を感じ苦しまれたようです。しかし業界のエキスパートであった上司の指導を受け『自分にはこの仕事しかない、この仕事を極めてみよう』と心に決めて、仕事に打ち込まれたとのことです。『清掃こそ私の“居場所”』との言葉の通り仕事に打ち込まれ、その結果、清掃の技能選手権で日本一になられました。スゴい!自分の下手な解説ではこの感動が伝わらないでしょうから是非番組を見ていただきたいと思います。

さてこの翻って自分はどうなんじゃい、という総括が大切です。彼女の『清掃の職人であれ』という言葉との通り、彼女の仕事に対するあくなき拘りは哲学とも言えるかもしれません。また、使う人のことを考え『清掃はやさしさ』『心を込めて清掃をする』というご自身の仕事を表現されています。さてさて、プロフェッショナル仕事の流儀でもしも自分が特集されたら(笑)、『研究とは○○』と説得力を持って表現できるでしょうか?おそらく刺さる言葉は出てこないと思います。それは彼女ほどの拘りをもって仕事に向かえていないからなのかもしれません。

新津さんは仕事の地位の低さに対して問題意識を持ち、不満を言うのではなく地道に自分を磨くという行動で日本一の座を手にし、世間からも(今回のようにメディアを含めて)注目されるようになりました。しかしそんな存在になっても、『これ見よがしな、自分がやりました!』感が全く無く、個人の名前は出てこなくても良い、空港が綺麗でお客様が喜んでくれればよいという思いに心を打たれます。まさに『大欲は無欲に似たり』というのでしょうか、こういう方には皆が自然とついてくると思います。

自分にとって不都合な状況でも腐らずに自らの努力で状況を変え、名声を得るようになっても謙虚である、今の自分とは真逆のように思います (汗)。そんな自分はカッコ悪いと思いますし、嫌いです。だからこそ、自分も少しでも新津さんのようになりたいと思いますし、そのために行動しないとダメですね。おっしゃ、明日から頑張ります!


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