起業家精神というものについて考えてみた思い、『20歳のときに知っておきたかったこと』を読み返しました。自分は企業に勤める研究者ですので起業家ではないのですが、起業家精神というものについて特に最近その重要性を感じています。
自分達が子供の頃は、「安定しているから公務員になりたい(なりなさい)」と言っている人がいました。この『公務員が安定だ』というのは、日本という国が右肩上がりであった頃のシステムからの発想だと思います。これからの日本では、人口が減ることで税収が減り、既存の行政サービスが維持できなくなることは、ギリシャの例などを見ると容易に想像が出来るのではないかと思います。そうなれば「公務員が安定だ」とは、決して言えないような時代になるのだと思います。
同じく『大企業に就職することが安定だ』というのも、会社が存続し終身雇用が今後も続くと言う前提に立ってると思います。自分が今の会社に入社したきっかけの一つには、昔のパラダイムでの『安定』というものを追い求めていたように思います。しかし現実世界で起きていることは、グローバル化、企業同士の買収や合併とそれに伴うリストラ、新興国への業務委託、など『職の安定』とは程遠い出来事だと思います。自分は会社が今の形でこの先ずっと存続するとはこれっぽっちも信じていませんし、会社がグローバル化する伴い日本の特殊な終身雇用というシステムではもたなくなくなるでしょう。
これらの出来事が意味することはプレイするゲームのルールが変わりつつあることであり、そうである以上昔のパラダイムは幻想とはまで言わないものの、もはや判断を誤らせる可能性はあると思っています。
これはまさにパラダイムシフトがおきているというか、過去の延長線上に未来は無いということなのだと思います。そのような状況下において「変化や不安定をチャンスだと捉え、リスクを恐れずに挑戦する」という考えを持つことで、自分が今の状況を楽しめるようになっているのを感じます。このような気持ちこそが、本書で書かれている起業家精神なのではないかと思います。
古いパラダイムで選んだ今の会社に勤めることが駄目だと言っているわけでは決してありません。むしろ変化に直面している会社だからこそ、社内で起業家精神を発揮して活躍できる事があるのだと思っています。ピンチは山ほどあると思いますが、だからこそその分だけチャンスもあるのだと思っています。例えば、自社の支店はそれこそ世界数十カ国にあるので、自分に実力さえあれば世界中で仕事ができます。さらに終身雇用や年功序列のシステム崩れていくということは、自分に実力さえあればこれはチャンスと捉えれるかもしれません。
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