#987 仮説思考により実験の手間を省く!

自分の密かな自慢(?)の一つにあまり実験をしないことがあります。自分は実験科学者なので「実験をしないのってダメじゃん」って話なのですが(汗)、100% そうも言い切れないのかな、と思っています。

実験は何のために行うかというと、仮説の検証のためです。「この化合物は薬になる」とか「毒性がでそう」とか、「この理論は必ずこうなるはずだ」という仮説があって、それが成り立つかを実例を用いて証明していきます。だから極論を言えば、仮説が正しければ実験は一通りで終れるはずです。

もちろんそんな簡単な仮説であれば他の誰かに検証されているはずですので、実際の取り組む仮説は複雑なものが殆どですが、それでも仮説の精度が高ければ検証のプロセスが少なくても済みます。

更に大切なことは、仮説を立てて実験を行った後に仮説を修正することで、仮説の精度を高めていくことだと思います。自分は実験のデータ解析に非常に長い時間をかけます。様々な切り口でデータを解析し、それこそ味が無くなるまでデータを噛み尽くす、というくらいデータ解析を重視します。それにより、仮説が検証され、真の答えの範囲が限定されるので、次の実験の条件検討の範囲が限定されます。もっと言えば、得られた結果をもとにシミュレーションを行うことで、次の結果を予測できてその結果を得るように実験をデザインするので、その結果として当然高い精度の結果を得ることが出来ます。

その結果、得られたデータに密度の濃い情報が濃縮され、解析により多くの考察をもたらすことが出来るようになります。この PDCA のサイクルを極小化することで、より精度の高い仮説思考が可能になるのではと思っています。

ということを言い出すと、下手に考えるよりも行動したほうが早い、という意見をもらうことも有ります。確かにそのような場合もあるでしょう。ですが、事実の可能性は無限にあり、それらをしらみつぶしに検証していくことはどれだけお金と時間があっても足りません。

今後も「あの人は実験はしないのに、研究がドンドン進んでいくね」と言われるようなスタイルを確立できるように、思考実験により仮説思考の精度を高め、目的の結果までなるべく短い行程で進んでいきたいと思います。


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