最先端研究に投資する時間の価値 #1188

もうすぐ連休(もうすでに連休?)ということもあり、オフィスには少しユルい空気が流れています。そういう時は mtg や急な依頼も少なく、比較的に時間を自由に使えるため、久しぶりに実験データの解析に腰を据えて取り組みました。

自分としては、自分のことを研究者だと思っていますが、最近は自分で実験をすることも殆どなく、もっぱらチームの研究企画を考えることや関係者との折衝が主で、自分の時間の殆ど全てがそれらに使われていました。

そんな中で唯一自分が担当している実験の解析にたっぷりと時間を使えることは、自分にとって非常に贅沢な時間の使い方だと思っています。あまり理解はされないのかもしれませんが、実験データの解析は噛めば噛むほど味の出るスルメ?みたいなものです。

実験データを眺めながら仮説を立て、その仮説に沿ったグラフやテーブルを作り計算をしてその仮説を検証します。そこからさらに仮説(妄想)が生まれ、次の解析を行います。このサイクルを何度も繰り返し仮説の精度を高めていきます。その間に生まれる仮説がこの実験データから検証できないようになれば、それを検証するための適切な次の実験プランを考え、条件を決め、実験計画(=アクションプラン)を決定します。場合によっては実験ではなくコンピューターシミュレーションで検証することもありますが、その場合はプログラムを書く必要もあります。

そんなこんなでじっくりと味わい、悩み、楽しみながら解析を進めているとあっという間に夜になってしまった、というような久しぶりに没頭できました。普段であれば即断即決で次々と進んでいかなくてはならないため、数時間も同じ事を考え続ける余裕など時間の使い方の観点からは殆どありえません。一方で最先端のサイエンスの研究は、論文や教科書の1ページを生み出すのに、研究者の年単位の時間を必要とし、その研究の積み重ねが科学の進歩となり、それを通じて社会への貢献という形になります。今日のような時間の使いかたは、ゼロからイチを生み出す最先端の研究だからこそ費用対効果を出せる時間の使い方なのではないかと感じました。

改めてですが、自分は研究が好きであることを感じ、一方でそのための時間は今はすでに殆ど取れなくなっているし今後もそれほど取れないのだろうと思うと、少し寂しい気持ちも同時に感じました。とは言え、現場の研究であれ間接的な関わり方であれ、患者さんのためになる仕事であればどっちでも構わないと思っていますので、どんな仕事であれこれからも頑張っていきたいと思います。

 


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