研究を通じて身に付けたソフトスキルとは

自分は長い間、創薬研究に携わっています。研究を通じて自身の専門性を高めてきましたが、専門性以外には自分はどのようなスキルや強みを伸ばしてきたのかを考える機会がありました。今日は以下に思いつくままに書いてきたいと思います。

まず第一に「まだ答えのない事やまだ誰も知らない事に対して、解を見いだそうとする姿勢」を身に付けてこれたのではないかと思います。(会社員としての1を10にする仕事もやりますが)サイエンスの研究は0から1を生み出す仕事が重要です。未知の世界の中に解はあると信じて見付け出そうとするには、自分を信じる力と諦めない精神的な強靭さが必要になると思います。研究を通じてそれらを身につける事が出来たのではないかと思っています。

そして二つ目に、事実やデータから仮説思考を用いて結論へと近づいていく論理的な思考プロセスを身に付けたのではないかと思います。これは一般的に科学者(理系)の強みとしてイメージされる事ではないでしょうか。特に自分が専門にしていた生化学は様々な前提のもとで理論を組み立て、それを実験やシミュレーションで検証し、理論や前提を修正していくという検証プロセスを多用します。自分としては当たり前にやってきたことですが、これも意外と自分の強みかもしれないと思っています。

そして三つ目に、新しい価値を生み出すことを常に考え続けた事は実は意外な強みなのではないかとも思っています。新しい価値を生み出すのは別に研究者に限ったことではないのですが、しかし研究者は特にイノベーションを起こす事を期待されていると思っています。全く新しい方法論の開発や科学的発見はなかなかありませんが、それ以外のイノベーションの方法、例えば既存の物事の想定外の新しい組み合わせを試そうとしたり、予期せぬ成功や失敗を利用しようと試みたり、様々なギャップに注目したりなど、を常に試そうとしてきました。「人のゆく裏に道あり花の山」ではないですが、他人や既存の考え方とは違う考え方をして見ようというトレーニングをしてきたのではないかと思っています。

ついでに一つ付け加えておくと、異なる専門家同士がお互いの強みを生かして新しいことにチャレンジしていくためには、チームのマネジメント力であったりコミュニケーション能力は必須です。一般に研究者はこれらの能力が低いと思われがちらしいですが自分としてはそんなことはないと思っています。このような社会人として当たり前の能力も研究を通じて身に付けてきたと思っています。

以上のような自身の専門性とは直結しない能力は、実は汎用性の高いソフトスキルとして今後も専門分野以外のあらゆる場面で使っていけるのではないかと思っています。研究でもそれ以外でも自分が新しいことにチャレンジしていくにあたって、強みを棚卸し出来たことは自分にとって意外と自信になりました。これらの強みは意外と価値があるものだったら良いな〜なんて思っています (笑)。


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