ブレインストーミングの流儀(2)

昨日このブログで、ブレインストーミングの利点を生かすために、会議のファシリテーターが気をつけるべきことを書いてみました。それは、 ブレインストーミングの4つの原則を忘れずに実行するということです。すなわち、 (1) 結論を出さない、(2) 粗い考えを許容する、(3) アイデアの質より量を重視する、(4) アイデアを結合し発展させる 、の4つを会議ルールとして徹底することが大切です。会議のファシリテーターとしてはブレインストーミングの前にこの4原則の確認は当然するべきだと思うのですが、それだけやっておしまいでは不十分だと思っています。ブレインストーミングを効率的に行うために、自分が大切だと思う点や提案したいポイントについて書いておきたいと思います。

まず一つ目、ブレインストーミングは立ってやるものです(笑)、座ってあるものではありません。いや、真面目に。限られた時間に可能な限り多くの意見を出すことが目的なのですから、ブレストには大きなエネルギーが必要です。座ってゆっくり意見を出すのではなく、 参加者の全員が前のめりに意見を出していくエネルギー・雰囲気を作り出したいと思っています。

二つ目、ファシリテーターは、出てきた意見に対して、まずは肯定をすることをお勧めします。意見そのそのものではなく、意見が出てきたことを喜ぶ感じですね。『お、いいですね』とか『あ、ご意見を出してくれて、ありがとうございます』で十分です。そのような声掛けにより、次に出す人も意見を出しやすくなり、数多くの意見を引き出すことが可能になります。ここでポイントなのは、意見を出してくれたことに対する評価と感謝であり、意見の中身自体の評価はしないようにするのが大切です(ブレストの原則 (1) 結論を出さない)。可能なら参加者にも同様にして、出てきた意見に対して肯定的なメッセージを出してもらえると更に盛り上がります。

三つ目、意見はまずポストイット(付箋)に書いてもらい、それを読み上げながら模造紙に貼ってもらうのがおすすめです。 このポストイットに書いてもらうことで発言者のアイデアがコンパクトにまとめあげられ、さらにそれを読み上げる過程で他人の脳が刺激され、アイデアが出やすくなります。ポストイットに残してもらうことで、後から再整理も簡単ですし、議論の終了後に模造紙全体の写真を撮ってしまえば議事録に早変わりです。

四つ目、 高い目標を設定することです。もしブレストでアイデアを30個出して、その後絞り込みたいのであれば、『30個アイデアを出してください』なんて絶対に言ってはいけません。まずは『100個くらいを目標に』と高めの設定をして、いい意味でチームを焦らせ、高いエネルギーレベルを保持することで初めて、実際に30個のアイデアに着地できるでしょう。

五つ目、これが最も大切かもしれませんが、出てきた意見に対しての連想を参加者に促すことです。会議中にそれ以上の意見が出なくなることは、よくあります。その場合の声かけとしては、『先に出た意見から連想してみて!』というのは基本に過ぎません。それに加えて、例えば前の意見で『鈴木さんに、資料作成を手伝ってもらう』というアイデアが出た場合、連想として例えば『鈴木さんつながりで考えてみましょう。もし鈴木さんにお願いできるとしたら、資料作成に加えて他に何か無いでしょうか?』とか『誰かに手伝ってもらうつながりで、鈴木さん以外に誰かに頼める人はいないでしょうか?』などなど、無理やり連想を促す声がけも出来るでしょう。また、ゲーム的に盛り上がるルールを設定するのも一つの手法かもしれません。たとえば、途中で意見が止まった場合、順番に無理やりアイデアを出し続けてもらい、パス3まででもアイデアを出せなかった人には罰ゲーム(ジュースを奢ってもらう程度の簡単なものでOK)を設定するのはなかなか盛り上がります。

ここまでやれれば、ブレインストーミングのプロセスも結果も随分変わったものになることは間違いありません。結果の面では、多様なアイデアから面白いアイデアが生まれる確率は格段に向上します。またプロセスの面では、少なくとも会議は盛り上がり、参加者にも自分が貢献したという意識が生まれチームワークが強固になります。困難な問題に出会ったときにはしかめっ面をして暗い雰囲気の中で会議をするのではなく、ワイワイ楽しく突拍子もないアイデアで問題を乗り越えようとするのも一つのアイデアです。そういえば最近、チームでブレスト自体をやっていませんが、今チームが抱える問題に対してやってみてもいいかな、と思っています。


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