以前に、会社のある会議のアイスブレークとして、『あなたの珠玉の一曲はなんですか?』と聞かれました。音楽は好きなので、好きな曲はそれこそたくさんあるのですが、一曲に絞るのって本当に大変ですよね。特に、会社の会議のアイスブレークなので、曲そのものよりも理由部分が大事で、エピソードを説明し自分の人柄を分かってもらうというのが真の狙いだったりするわけです。
とまあ自分でハードルを上げてしまい(笑)、あれでもない、これでもない、と色々と考えたのですが、梅雨明け寸前の時期だったこともあって、なにか夏らしい曲がいいかと思った時に、ふと思い浮かんだのが大滝詠一さんの『君は天然色』でした。
収録されたアルバムがリリースされたのが 1981 年ですからなんと 40 年以上前の曲で、当然リアルタイムで聞いていたわけでありません。初めて聞いたのは、松嶋菜々子さんが出ていたキリンの生茶の CM でしょうか、多分それでも 20 年くらい前の話ですね笑。ただし以降、CM などで繰り返し使われていますし、最近では、金麦の CM だとか藤原さくらさんのカバーでのダイハツの『ムーヴ キャンバス』 の CM などでもお馴染みです。『くちびるつんと尖らせて〜』の A メロや『想い出はモノクローム 色を点けてくれ』のサビの部分などは何度も聞いたことがあるのではないでしょうか。有り難いことに、以下の YouTube の公式チャンネルでも聞くことができます。
と、いう説明まではできるものの、その会議には若者もいれば遥かに年配の方も出席されるので、どんな曲なのかある程度分かりやすく説明せねばと思ってインターネットでリサーチを始めたのですが、ハマってしまいました(笑)。この曲、凄すぎます。そしてこのアルバム『A LONG VACATION』もそして大滝詠一さんもすごい。。。もちろん、ガッツリと調べる前から、『A LONG VACATION』も大滝さんの他の曲も(他アーティストへの提供も含めて)聞いたことはあって、素敵な曲だなくらいの感覚で思っていました。
ですが、調べるにつれてますますその魅力に取り憑かれてしまい、止まらなくなっています。既にネットには膨大な情報がありますので、ここで繰り返すことはしませんが、君は天然色の作詞家の松本隆さんの妹さんのエピソード、フィル・スペクターの影響、コード進行(サビの部分のハーモナイザーによる転調も含め)、ドラマ『ロングバケーション(ロンバケ)』や『ラブジェネレーション』の主題歌『幸せな結末』の関係、ヘッドホンコンサート、永井博さんのイラスト、亡くなられた後の山下達郎さんのコンサートでのカバー、などに驚き、感動し、もっともっと知りたい、楽しみたい、とウェブサイトや YouTube だけではなく、書籍なども買い漁って情報を手に入れています。語り出したら、飲み屋何軒もハシゴできるくらい語りたいことがたくさんあります(笑)。
『君は天然色』も『A LONG VACATION』もそんなウンチクを一切抜きにしても、素晴らしい作品だと思います。しかし、背景を知ることで、噛めば噛むほどというような奥深さのある作品であることに気が付き、ますます作品の素晴らしさを感じることが出来ているのだと思います。さらには、その素晴らしい作品を生み出すために関わった人たちのプロの仕事を見たように思います。アーティストのヨーゼフ・ボイスではないですが、自分も医薬品研究開発のプロとして同じような仕事(作品)を生み出すことができれば良いなと思いました。誰から見ても素晴らしい・美しい仕事で説明は不要、だけどあえて説明すると表面からは見えにくいところにプロとしてのこだわりがしっかり詰まっている、そして願わくば人の心を動かす、そんな仕事ができたらと思っています。