先日、『田中角栄 100の言葉』を読みました。田中角栄氏といえば自分が政治について理解し始めた時には既に亡くなられていたこともあり、実際にはよく知らないのですが、『コンピューター付きブルドーザー』と評されたとおり膨大な知識と圧倒的な実行力で日中国交正常化を始めとする様々な政治課題で成果を挙げるなどの非常に大きな功績があった一方で、派閥政治やロッキード事件に代表される金権政治の親玉としてのネガティブなイメージもあるでしょう。自分は専門家では無いので、その評価については正しいことはよく分からないのですが、本書や政策秘書であった早坂茂三氏の著書などを読むと、非常に人間味がある面白い方であり、また対人マネジメントにおいては抜群の能力を発揮していたように思われます。
本書を読んで、刺さる言葉が山程あったのですが、その一つが下記です。
戸別訪問3万軒。辻説法5万回、これをやれ。やり終えたら改めてオレのところへ来い。
この言葉は新人の立候補希望者に対して必ずかけた言葉のようです。これは愚直に基本を繰り返すことでしか成功(=当選)への道は無いことを示しています。これを改めて読むと、そもそも一年365日しかないのにどうやってこの膨大な数字を達成していたんだろう?ということ疑問がまず生まれます。選挙に勝つということは、それくらい想像を絶するくらいの地道な労力が必要なのでしょうが、田中派は実際にそれだけの事をやってきたからこそ選挙では圧倒的な成果を出してきたのだと思います。つまり金権政治や派閥政治などと言われはしますが、その一方でやるべき事は最低限きっちりやっているのだという点、さらにこの具体的な数字が示されている点が印象に残りました。
この言葉は、『政治家になりたい』とか『選挙に勝ちたい』と漠然と考えていた候補者や議員に対して、明確な(最低限の?)基準を与えることになったのだと思います。単に『政治家になりたい』では何をやれば良いのか分からない悶々とした状態だったのに対し、この言葉により少なくとも最低限これをやれば良いとわければ、そこから実行するための創意工夫が生まれるでしょうし、地道にそして気合いで実行すれば良い状態に変わるのでしょう。
さてさて翻って。自分がリーダーになった時には、この言葉のように、成果を出すための最低限の活動指針をチームメンバーに対して明確に具体的に示すことが大切なのだろうけど、実際に示すことが出来るだろうかと不安になりました。現場で成果を出しつづけることにより再現性良く成果を出すための行動の最低基準を理解していなければなりませんし、それを具体的な言葉として表現しないと、経験の浅いメンバーには伝わりません。まだまだ全くもって修行が足りませんね、これからも精進します!